【大手監査法人ランキング2023】4法人とも業務収入は順調に推移

大手監査法人ランキング2023 - アイキャッチ(120-1)公認会計士

どうも、監査法人に勤務していたgordito(ゴルディート)です。

  • 2023年の大手監査法人の売上高、人員数、クライアント数はどうなっているんだろう?

このような疑問を解決できる記事になっています。

なぜなら、いくつかの項目で各監査法人をランキングしたものを紹介するからです。

大手監査法人4法人のみのランキングです。

具体的には、売上・利益ランキング、人員数ランキングやクライアント数ランキングを紹介します。

記事を読み終えると、監査法人に対する理解が深まります。

監査法人の各種ランキング(2023年版)

大手監査法人の各種ランキング(120-2)

当記事では、主に次のようなランキングを紹介します。

  • 売上・利益ランキング
  • 人員数ランキング
  • クライアント数ランキング

また、各監査法人の情報は、主に次の書類等を基礎にしています。

それでは、各種ランキングを紹介します。

なお、「PwCあらた有限責任監査法人」は2023年12月1日に「PwC京都監査法人」と合併し、「PwC Japan有限責任監査法人」となっています。

売上・利益ランキング

まずは売上や利益に関するランキングを紹介します。

各監査法人の業務収入(売上高)や利益は次の通りです(単位:百万円)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
業務収入 A+B142,845109,503111,73460,981
 監査証明 A
 (割合)
89,334
(62.5%)
92,525
(84.5%)
87,532
(78.3%)
29,715
(48.7%)
 非監査証明 B
 (割合)
53,510
(37.5%)
16,977
(15.5%)
24,202
(21.7%)
31,266
(51.3%)
営業利益1,355637381,058
経常利益2,8484651,0663,069
税引前当期純利益2,8484651,0663,075
当期純利益2,2203732492,309

トーマツのみ2022年6月〜2023年5月、その他の3法人は2022年7月〜2023年6月の実績

業務収入ランキング

業務収入(売上高)ランキングは次の通りです(単位:百万円)。

業務収入
A
前期
B
前々期前期比(%)
A-B
トーマツ142,845138,814123,676+4,031(+2.9%)
EY新日本109,503106,431104,037+3,072(+2.9%)
あずさ111,734111,098105,281+636(+0.6%)
PwCあらた60,98156,45854,856+4,523(+8.0%)

「業務収入」は「売上高」だと考えてください。

業務収入ランキングの1位はトーマツです(前期、前々期と順位に変動なし)。

大手監査法人4法人とも前期比で業務収入は増加しており、まずまずといったところでしょうか。

PwCあらたの伸び率が最も良いです。

新型コロナなんのそのという感じですかね。

監査証明業務ランキング

業務収入のうち、『監査証明業務』に関する部分は次の通りです(単位:百万円)。

監査証明業務
(監査証明割合)
A
前期
B
前々期前期比(%)
A-B
トーマツ89,334
(62.5%)
86,143
(62.1%)
83,223
(67.3%)
+3,191
(+0.4ポイント)
EY新日本92,525
84.5%
89,666
(84.2%)
88,706
(85.3%)
+2,859
(+0.3ポイント)
あずさ87,532
(78.3%)
85,432
(76.9%)
83,296
(79.1%)
+2,100
(+1.4ポイント)
PwCあらた29,715
(48.7%)
28,206
(50.0%)
28,013
(51.1%)
+1,509
(▲1.3ポイント)

監査証明業務ランキング(金額と割合)の1位はEY新日本です。

前期と変わらないですね。

すべての監査法人で監査証明業務による収入が前期比で増加しています。

なんでも値上げの時代ですが、監査報酬も上がっているようです。

後ほど紹介しますが、1クライアント当たりの業務収入(平均)は4法人とも前期比で増加しています。

非監査証明業務ランキング

業務収入のうち、『非監査証明業務』に関する部分は次の通りです(単位:百万円)。

非監査証明業務
(非監査証明割合)
A
前期
B
前々期前期比(%)
A-B
トーマツ53,510
(37.5%)
52,670
(37.9%)
40,452
(32.7%)
+840
(▲0.4ポイント)
EY新日本16,977
(15.5%)
16,765
(15.8%)
15,331
(14.7%)
+212
(▲0.3ポイント)
あずさ24,202
(21.7%)
25,665
(23.1%)
21,985
(20.9%)
▲1,463
(▲1.4ポイント)
PwCあらた31,266
51.3%
28,252
(50.0%)
26,842
(48.9%)
+3,014
(+1.3ポイント)

非監査証明ランキング(金額)の1位はトーマツで、非監査証明ランキング(割合)の1位はPwCあらたです。

前期、前々期と順位に変動なし。

EY新日本は監査証明業務の割合が大きく(業務収入の約85%が監査証明業務に依存)、トーマツは非監査証明業務の割合が相対的に高く(業務収入の約38%が非監査証明業務によるもの)、あずさは両者の中間に位置しています。

PwCあらたは非監査証明業務の割合が非常に高く(業務収入の約半分)、この点に特徴があると言えます。

この点も前期と変わっていませんね。

各法人の特色が色濃く現れているでしょう。

営業利益ランキング

営業利益は次の通りです(単位:百万円)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
業務収入 A142,845
(+4,031)
109,503
(+3,072)
111,734
(+636)
60,981
(+4,523)
営業利益 B1,355
(+378)
63
(▲223)
738
(▲614)
1,058
(▲729)
営業利益率 B/A0.9%
(+0.2ポイント)
0.1%
(▲0.2ポイント)
0.7%
(▲0.5ポイント)
1.7%
(▲1.5ポイント)

カッコ内は前期比です。

営業利益ランキングの1位はトーマツ、営業利益率ランキングの1位はPwCあらたです。

人員数ランキング

次に人員数に関するランキングを紹介します。

各監査法人の人員数(社員数や使用人数)は次の通りです(単位:人)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
社員 A533(▲3)533(+11)578(▲16)190(+5)
 公認会計士478(▲4)524(+10)541(▲16)149(+1)
 特定社員55(+1)9(+1)37(±0)41(+4)
使用人 B7,179(+372)5,326(+282)6,157(+434)2,762(+115)
 公認会計士2,441(▲44)2,440(+52)2,402(▲1)919(+54)
 公認会計士試験合格者等1,359(▲12)1,311(+37)1,357(+26)586(▲31)
 監査補助職員3,289(+431)1,060(+211)1,653(+394)1,166(+99)
 その他の事務職員等90(▲3)515(▲18)745(+15)91(▲7)
人員 A+B7,712(+369)5,859(+293)6,735(+418)2,952(+120)

カッコ内は前期比です。

社員の数ランキング

社員の数と内訳は次の通りです(単位:人)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
社員 A533(▲3)533(+11)578(▲16)190(+5)
 公認会計士478(▲4)524(+10)541(▲16)149(+1)
 特定社員 B55(+1)9(+1)37(±0)41(+4)
特定社員の割合 B/A10.3%
(+0.2ポイント)
1.7%
(+0.2ポイント)
6.4%
(+0.2ポイント)
21.6%
(+1.6ポイント)

カッコ内は前期比です。

ここで言う社員は、監査法人の経営層(監査法人に対して出資)の人たちだと考えてください。

一般に『パートナー』と呼ばれる人たちです。

社員の数ランキングの1位はあずさです。

特定社員の割合ランキングの1位はPwCあらたです。

PwCあらたは非監査報酬の割合が非常に大きいと紹介しましたが、特定社員(公認会計士ではない社員)の割合も他の3法人と比較して大きくなっています。

一方、監査報酬割合が最も高いEY新日本は特定社員割合は、たったの1.7%です。

使用人の数ランキング

使用人の数と内訳は次の通りです(単位:人)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
使用人 A7,179(+372)5,326(+282)6,157(+434)2,762(+115)
 公認会計士2,441(▲44)2,440(+52)2,402(▲1)919(+54)
 公認会計士試験合格者等1,359(▲12)1,311(+37)1,357(+26)586(▲31)
 監査補助職員 B3,289(+431)1,060(+211)1,653(+394)1,166(+99)
 その他の事務職員等 C90(▲3)515(▲18)745(+15)91(▲7)
監査補助職員等割合 (B+C)/A47.1%
(+3.7ポイント)
29.6%
(+2.2ポイント)
38.9%
(+4.1ポイント)
45.5%
(+1.5ポイント)

カッコ内は前期比です。

使用人の数ランキング、監査補助職員等割合の1位はトーマツです。

各法人、監査補助職員の増加が著しいです。

その傾向はここ10年変わっていないと思います。

クライアント数ランキング

次はクライアント数に関するランキングを紹介します。

クライアント数は監査証明業務非監査証明業務に分けて紹介します。

監査証明業務のクライアント数は次の通りです(単位:社)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
クライアント数
(監査証明業務)
3,162(▲82)3,712(▲23)3,423(▲59)1,182(+25)
 金商法・会社法監査808(▲32)829(▲36)687(▲37)135(▲7)
 金商法監査9(▲3)50(▲3)27(▲3)49(▲2)
 会社法監査1,092(▲4)1,250(+3)1,367(+16)436(▲3)
 学校法人監査63(+1)76(▲3)39(▲2)1(±0)
 労働組合監査22(▲2)7(±0)11(▲2)-(±0)
 その他の法定監査551(▲8)756(+33)594(+6)268(+34)
 その他の任意監査617(▲34)744(▲17)698(▲37)293(+3)

カッコ内は前期比です。

一方、非監査証明業務のクライアント数は次の通りです(単位:社)。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
クライアント数
(非監査証明業務)
2,680(▲188)1,900(+37)1,836(▲163)1,215(▲18)
 うち大会社等317(▲170)471(▲19)650(+89)78(▲9)

カッコ内は前期比です。

クライアント数(監査証明業務)ランキング

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
業務収入
(百万円)A
89,334
(+3,191)
92,525
(+2,859)
87,532
(+2,100)
29,715
(+1,509)
クライアント数
(社) B
3,162
(▲82)
3,712
(▲23)
3,423
(▲59)
1,182
(+25)
クライアント当たり業務収入
(百万円/社)A/B
28.3
(+2.7)
24.9
(+0.9)
25.6
(+1.1)
25.1
(+0.7)

カッコ内は前期比です。

クライアント数(監査証明業務)ランキングの1位はEY新日本です。

クライアント当たりの業務収入(監査証明業務)の1位はトーマツです。

クライアント当たりの業務収入は4法人とも前期比で増加しています。

クライアント数(非監査証明業務)ランキング

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
業務収入
(百万円) A
53,510
(+840)
16,977
(+212)
24,202
(▲1,463)
31,266
(+3,014)
クライアント数
(社) B
2,680
(▲188)
1,900
(+37)
1,836
(▲163)
1,215
(▲18)
クライアント当たり業務収入
(百万円/社)A/B
20.0
(+1.6)
8.9
(▲0.1)
13.2
(+0.4)
25.7
(+2.8)

カッコ内は前期比です。

クライアント数(非監査証明業務)ランキングの1位はトーマツです。

クライアント当たりの業務収入(非監査証明業務)の1位はPwCあらたです。

非監査証明業務のクライアント当たりの業務収入は監査証明業務のそれとは異なり、各法人で金額が大きく異なります。

まとめ

大手監査法人ランキング2023 - まとめ(120-3)

最後に簡単にまとめます。

まとめ
  • 売上(業務収入)ランキングの1位はトーマツ。監査証明業務に限定した場合、EY新日本がトップであり、非監査証明業務に限定するとトーマツがトップ。非監査証明割合が圧倒的に高く、また営業利益率の首位となっているのはPwCあらた。
  • 社員の数が多いのはあずさで、特定社員割合が大きいのはPwCあらた。使用人の数が多く、監査補助職員等割合が大きいのはトーマツ。
  • クライアント数(監査証明業務)のトップはEY新日本だが、クライアント当たり収入(監査証明業務)のトップはトーマツ。クライアント数(非監査証明業務)のトップはトーマツだが、クライアント当たり収入(非監査証明業務)のトップはPwCあらた。

いかがでしょうか。

監査法人に対する理解が深まったのではないでしょうか。

どこも似ているようで、各法人にそれぞれ特色があることをざっくりと理解して頂けたことでしょう。