どうも、公認会計士として監査法人に勤めていたgordito(ゴルディート)です。
- 監査法人に勤務する上でつらいこと、嫌なことってなんだろう?
このような疑問を解決できる記事になっています。
なぜなら、私は監査法人で働いていた経験があり、実際に肌で感じた監査法人勤務のつらいこと、嫌なことを紹介するからです。
記事を読み終えると、監査法人の魅力的ではない点が分かるようになります。
監査法人のつらいこと7つ
監査法人に勤務する上でつらいこと、嫌なことを7つ紹介します。
監査法人のつらいこと 1:出世競争が厳しい
比較的、穏やかな人が多い監査法人ですが、『出世』という意味では穏やかではありません。
むしろ、一般企業と比較するとより早い段階から出世競争にさらされます。
就職して3-4年目で同期との給料差が100万円になります。
というのも、3-4年目で昇進する人もいれば5-6年目でも昇進できないようなことは珍しくないからです。
かといって、ギスギスしているかというとそんなこともなく、『Aさん早く昇進したねぇ』ぐらいの感覚です。
しかし、全然昇進できないと面白くはないでしょう。
実際、5-6年目で昇進できないと『転職』する人が多いという印象です。
監査法人の『出世』に関しては事例があった方がわかりやすいので、幼稚な事例ですが、『監査法人の出世』に関する次の記事に目を通してください。
監査法人のつらいこと 2:時間に追われることがある
監査業界では一般的に4-5月に時間に追われる傾向にあります。
というのも、日本では3月決算の企業が多く、『クライアント作成の資料をチェックする』という監査業務の性質上、その作業のピークが4-5月になるからです。
クライアントは作成した財務諸表等を開示する必要があるので、その開示予定日までに監査手続を終え、全体として問題ないことの心証を得ておく必要があります。
クライアントから適時に資料を受け取ることができれば良いものの、そうでないこともしばしばあります。
資料受け取りが遅くなり、開示予定日が近い場合、忙しさに拍車がかかります。
場合によっては毎日終電、土日も仕事という状況になるでしょう。
証券取引所の自主規制である『決算短信』、会社法の『決算公告』、金融商品取引法の『有価証券報告書』と様々な開示書類があります。
もっとも開示が早い『決算短信』は監査対象外なのですが、基本的にその後に開示される『決算公告』や『有価証券報告書』と数値が異なることはあまり想定されていません。
そのため、クライアントが『決算短信』を開示する時までに、各監査手続を終えるようにしたりします。
まぁ、細かい話しになる上、監査法人によって対応が変わったりするので、この辺でやめておきます。
監査法人のつらいこと 3:地味な仕事が多い
監査業務が地味な仕事だからこそ、公認会計士は、『弁護士』や『医者』のようにドラマや小説の題材になりにくいのでしょう。
地味な仕事と言われても、正直、反論する気力もないですね。
クライアント作成資料のチェック作業が多いというのは事実ですからね。
調整作業も多いですね。
しかし、監査法人の魅力に関する記事では記載しませんでしたが、クライアントの従業員ですら見ることができないような『取締役会議事録』など、会社の重要な内部資料を多く見ることができる点は非常に面白いです。
経営者の視点でクライアントの方向性を確認し、そうであるならば会計数値のどこが大きく動くか、どこに不正リスクが潜んでいるか等を想定し、監査計画や監査手続に落とし込んでいくのは興味深いと言えるでしょう。
仕事の中で『楽しさ』や『やりがい』を見つける能力は、どのような仕事をやる場合でも重要だと思います。
次元は低いですが、私はどのようにしたら効率的に仕事ができるか考えて、楽しんだりしていました。
監査法人のつらいこと 4:クライアントに面倒がられる
クライアントには『監査は面倒』というネガティブな印象を持たれることが多いように思います。
というのも、公認会計士が行う監査に積極的に協力したところで、社内での評価が高まるわけではありません。
また、通常業務の妨げになることがあり、さらには間違いを指摘されることもあるわけですからね。
法で監査が義務付けられており『仕方がない』という感じでしょう。
そのため、クライアントの方に資料を依頼してもなかなか提出してもらえないことがあったり、ぶっきらぼうな態度を取られることがあります。
それが監査をする上でのストレスになります。
もちろん監査法人として、やるべきことはやらなければならないので、嫌な思いをするのには慣れる必要があります。
良い関係を保てているクライアントがある一方で、そうでないクライアントがあるのも事実ですからね。
監査法人のつらいこと 5:守秘義務が厳しい
監査法人に勤務すると、元競泳選手の北島康介ばりの「何も言えねぇ」状態になります。
どのような仕事にも当てはまると思いますが、監査においては『監査法人(監査する側)』と『クライアント(監査される側)』の信頼関係が非常に重要です。
信頼関係が成り立っていないと必要な情報を提示してもらうことができず、監査業務を円滑に進めることが困難になります。
そのため、信頼関係を壊さないためにもクライアントから入手した情報が外部に漏れることがあっては絶対にならないのです。
そのようなことがあれば、一気に信頼関係は崩れるでしょう。それだけにとどまらず、監査制度自体の信頼も失ってしまうことになりかねないのです。
そのような事情から、実務補習所(公認会計士試験に合格した後に通う学校のようなところ)や監査法人では、職業倫理の一部として『守秘義務』に関する研修がたくさんあります。
何人もの講師から『守秘義務』の重要性について口すっぱく言われます。
どのくらい厳しいか、いくつか例を紹介します。
クライアント先や監査法人の事務所以外の公の場で、クライアントの個別具体的な話しをするのは論外です。
これは当然ですね。
また、担当している『クライアントの名前』を友人、恋人や家族に言ってはなりません。
出張することもありましたが、『出張先』の地名ですら恋人や家族に言ってはいけないという人もいました。
少し過剰な気もしますよね。
羅列しませんが、同じ程度の厳しいルールは枚挙にいとまがないですね。
もちろん社会人として当然の内容もありますが、厳しすぎる『守秘義務』を少し窮屈に感じていたのは事実です。
監査法人のつらいこと 6:株式投資が制限される
ちょっと言い過ぎですが、監査ではクライアントのどんな情報も基本的に入手可能です。
社長の愛人とかはわからないですよ。
クライアント先の従業員ですら見ることのできない資料(取締役会議事録や監査役会議事録など)はもちろんのこと、開示されている資料の詳細な情報(根拠資料)も入手可能です。
そのため、そのような内部情報にアクセス可能な監査法人勤務の公認会計士等が、好き勝手に株式投資をしたらどうなるでしょうか。
大きな買収案件があり、株価が大きく伸びそうであれば、その事実が公表される前に株を買って儲けることができるでしょう。
また、赤字に転落することを公表前に知っていたら、保有している株を売り抜け、大きな損失を出さないこともできるでしょう。
いわゆるインサイダー取引ですね。
そうならないために、株式投資には規制が設けられています(詳細な説明は省きます)。
私の勤務していた監査法人では、購入した株式の銘柄全てを社内のデータベースに登録する必要がありました。
ルールに則れば売買できなくはないのですが、思いがけずルール違反になってしまい周りに迷惑をかけるのも嫌だったので、監査法人に勤務していた時には株式投資をほぼやっていません。
大学生の頃から株式投資を楽しんでいたので、ちょっと寂しかった記憶があります。
監査法人のつらいこと 7:細かい人間だと思われる
『監査』という言葉を聞いてどのように感じるでしょうか。
あら探しとか、細かいとか、対応が面倒とか、ネガティブな印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
ポジティブに捉える人はごく少数でしょう。
私の周りでも実際そのようなネガティブなイメージを持つ人はいて、中には私に『チェックマン』というあだ名をつけて、揶揄する友人もいました。
『1円でも間違いを許さない』という誤解をされている方が大勢います。
しかし、監査法人は、そんなに細かくて融通の利かない専門家集団ではありません。
そもそも限られた時間しかない中で、1円単位の細かいところまでチェックすること自体不可能です。
また、仮に、そのような軽微の間違いを発見したとしても誤りを伝えるだけで、必ず修正を強く依頼するわけではありません(もちろん修正した方が望ましいです)。
そうは言っても、世間一般の人には仕事内容を理解してもらえていないので、『細かい奴ら』というレッテルを貼られてしまうのは、ちょっと悲しいところですね。
まとめ
最後に今回の記事の内容を簡単にまとめておきます。
監査法人に勤務していたつらかったこと、嫌だったこと7つは次の通りです。
- 出世競争が厳しい
- 時間に追われることがある
- 地味な仕事が多い
- クライアントに面倒がられる
- 守秘義務が厳しい
- 株式投資が制限される
- 細かい人間だと思われる
いかがでしょうか。
監査法人の魅力的ではない点が分かったのではないでしょうか。
今回は悪い点ばかり紹介しましたが、もちろん監査法人には魅力もあります。
監査法人に勤務することの『魅力』を知りたい方は、次の記事がおすすめです。
監査法人や監査業務に興味のある方には、効率が良いのでドラマや小説に触れることをおすすめします。