どうも、監査法人に勤めていたgordito(ゴルディート)です。
・監査法人では干されることがあるって聞いたけど、本当?
・監査法人で干される人と評価される人の違いは何なの?
・干されたら、どう解決したらいいの?
このような疑問や悩みを解決できる記事になっています。
なぜなら、私が監査法人に勤務していた時に実際に見聞きしている内容を紹介するからです。
記事を読み終えると、干される理由や干された場合の解決方法を理解できるようになります。
監査法人では干される会計士が存在します
監査法人では仕事がもらえず、干されることが稀にあります。
必要のない人間が干されやすい環境
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
それは、監査法人では必要のない人間が干されやすい環境が整っているからです。
監査法人では『アサイン表』で各会計士(特に職位の低い人)の日程(仕事)を管理しています。
当然、人気のある会計士もいれば、人気のない会計士もいます。
人気のない会計士は、どの監査チームも欲しがらないので、アサイン表の自分の欄がブランクになる状態(仕事がない状態)が続くことになります。
わかりにくいと思いますので、簡単な例を紹介します。
ある監査法人のある事業部に2年目の同期3人組(Aさん、Bさん、Cさん)がいたとします。
そして、9月の第1-2週のアサイン表は次の通りだったとします。
Aさん | Bさん | Cさん | |
9月1日(火) | ⚪︎⚪︎自動車 | △△電力 | |
9月2日(水) | ⚪︎⚪︎自動車 | △△電力 | |
9月3日(木) | ⚪︎⚪︎自動車 | ||
9月4日(金) | ⚪︎⚪︎自動車 | ||
9月5日(土) | 休み | 休み | 休み |
9月6日(日) | 休み | 休み | 休み |
9月7日(月) | ××工業 | □□製菓 | |
9月8日(火) | ××工業 | □□製菓 | |
9月9日(水) | ××工業 | □□製菓 | |
9月10日(木) | ××工業 | ◎◎銀行 | |
9月11日(金) | ××工業 | ◎◎銀行 |
Aさんは1日もブランクはありませんが、逆にCさんは日程がほとんど埋まっておらず、仕事がない状態です。
仮にCさんは評価が低く、どの監査チームからも必要とされていない場合、今後もアサイン表はブランク続きになる可能性があります。
1-2週間ならまだしも、数ヶ月間もブランクが続くのであれば、必要とされていないと考えるのが妥当でしょう。
少しはイメージできたでしょうか?
監査法人では、監査チームが複数あり、各チームに会計士をアサインする方法を採用しているがために、アサインされなければ仕事のない状態が続いてしまうのです。
干されるとどうなる?
では、干される(アサイン表がブランク続きになる)とどうなるのでしょうか?
アサインがない日は基本的に事務所日になるので、監査法人の事務所に行くことになります。
しかし、これといってやることがないので、研修(必修と任意)をオンライン受講したり、専門書を読んだりして定時まで過ごすことになります。
監査法人で『干される人』と『評価される人』
では、監査法人ではどのような人が干され、どのような人が評価されるのでしょうか?
干される人
簡単に言えば、『一緒に仕事をしたくない人』ですね。
具体的には、次のような人たちは干されやすいです。
- 報連相ができない人
- 仕事が遅い人
- 我が強い人
報連相ができない人
監査手続をしていて間違っているかもしれない事項を発見したにも関わらず、上司に報告しなかったり、予定していた手続が何らかの制約により実施できなかったとしても相談しなかったりする人ですね。
コミュニケーション能力が低い人と言っても良いかもしれません。
適切なタイミングで、報告、連絡、相談ができない会計士は、各監査チームが欲しがりません。
仕事が遅い人
監査法人では『締め切り』のある業務が多いです。
締め切りがある以上、各会計士に担当してもらった業務が終わっていないと問題です。
仕事の割り振りが神がかり的に下手くそなインチャージもいますが、通常は概ね能力に見合った分担になっています。
そのため、割り振られた分担を期日までになんとか終わらせるよう精一杯努力するのが、各会計士の役目です。
その役目を果たせない人は、多くの監査チームが欲しがらないでしょう。
役目を果たすために、会計や監査に関する勉強を怠らないことはもちろんのこと、PCスキルを身につけたり、事前にクライアントのことを勉強しておいたりと、それなりの努力が必要です。
我が強い人
報告、連絡、相談がしっかりとでき、仕事が早かったとしても、管理しにくい人は嫌われる傾向にあります。
クライアントの会計処理を容認するかどうか、また、どのような整理にするかは各監査チームで異なります。
唯一絶対の答えがない場合が多く、会計士同士でも意見が対立することがままあります。
そのような時に、最後まで自分の意見を貫き通そうとする会計士も毛嫌いされます。
『絶対こういう整理の方がセンスあるよ』といつまでも愚痴をこぼしている人とかですね。
監査はチームで行なっており、上位者の意見の方が優先されやすいのは普通です。
最終的には上位者が責任を取ってくれる(はずです)ので、チームで仕事をしていることを理解し、必要以上に食い下がらないことが肝要でしょう。
評価される人
一方、評価される人は先ほどの逆で『一緒に仕事をしたい人』です。
- 報連相ができる人
- 仕事が早い人
- 協調性のある人
内容としては『干される人』の反対と考えて概ね間違いないので、細かい内容は省略します。
干されたらどう解決するか?
もし仮に干されてしまったら、どう解決したらいいでしょうか?
次の2つが主たる解決方法になるでしょう。
- 人事担当の上司(パートナー)に相談する
- 転職する
人事担当の上司(パートナー)に相談する
アサインのない現状を打開するためには、最も必要なことです。
人事担当パートナーにメールで連絡し、面談を設定してもらい、一度、現状について話してみたら良いと思います。
単に、今までの監査チームのメンバーと合わなかっただけの場合もありえます。
私の知り合いの会計士で、そのようなケースにぶち当たった人がいました。
人間なので、合う合わないはありますからね。
転職する
一度、不要な人間だというレッテルを貼られてしまったら、それを覆すのは至難の業でしょう。
何も監査法人だけが会計士が活躍するフィールドではありません。
以前に『公認会計士のメリット』で触れましたが、現在では監査法人以外で働く公認会計士は56.4%(令和2年版モニタリングレポート)にもなります。
そのため、監査法人に固執する必要はないのです。
必要とされる場所に移った方が楽しく仕事ができるのは言うまでもありません。
監査法人で干されている期間が長ければ長いほど、転職活動に支障をきたすと考えられるので、アサインが全くない状態が続くのであれば、早い段階で転職活動をした方が良いでしょう。
また、公認会計士登録が済んでおり、1人でやっていく自信があるのであれば、独立開業するのも1つの手です(軌道に乗るまでにはそれなりに時間がかかると思いますが・・・)。
いずれにせよ、現在の監査法人内に残り続ける気がないのであれば、早めにアクションを起こすのが得策でしょう。
転職エージェントに登録し、相談したり、案件を紹介してもらえると前向きになれますよ。
(番外編)現状を受け入れる
もはや解決策ではないですね。
監査法人に仕返しがしたいがために、一定期間、仕事をせずに給料をもらうことはできると思います。
しかし、これといった仕事がないのに、ずっと給料が支払われるほど世の中は甘くないので、いずれ退職を促される可能性が高いでしょう。
半沢直樹のように『倍返し』してやるという考えは改め、1.監査法人内で頑張る、2.退職する、のいずれかに心を決めた方が賢明でしょう。
まとめ
簡単にまとめます。
- 監査法人では稀に干されることがあります。
- 報連相ができない、仕事が遅い等の理由で、一緒に仕事をしたくないと思われたら、干されます。
- 干されたら、自分自身の問題点を改善するか、馬が合いそうなチームに変えてもらうか、退職するしかありません。
いかがでしょうか。
監査法人で干される理由や干された場合の解決方法が理解できたのではないでしょうか。
一般の事業会社と比較して、監査法人では個々人に仕事を割り振らないこと(アサインしないこと)は容易であり、退職勧告のようなことが可能です。
この点、『監査法人のつらいこと』では取り上げませんでしたが、監査法人勤務のデメリットと言っても良いでしょう。
現在、干されている状態であれば、監査法人内での解決を模索しつつ転職することも考えましょう。
実際に転職活動をしたら、監査法人で頑張りたいと思う気持ちが強くなるかもしれないですし、思い描くような勤務先が見つかるかもしれません。
転職活動について知りたい方は次の記事がおすすめです。
私の実体験も記載しているので、参考になると思います。