どうも、だいぶ前に監査法人を辞めたgordito(ゴルディート)です。
・監査法人を辞めたいけど、自分自身に問題があるのかな?
・他の会計士は、どのような理由で監査法人を辞めたいのだろう?
・辞めるとなると何をしたらいい?気をつけることは?
このような疑問や悩みを解決できる記事になっています。
なぜなら、実際に監査法人を辞めた私自身の経験を踏まえ、それに知り合いの会計士の話し等を織り交ぜた内容になっているからです。
記事を読み終えると、同じ悩みを持っている会計士が多く存在することを知ることができ、また辞めたいという気持ちを解消するためには何をしたらいいか理解でき、気持ちが楽になります。
監査法人を辞めたいと思っている会計士はあなただけではありません
少し過激な見出しになってしまいましたが、紛れもない事実です。
辞めたいと考える会計士が多いと言われる『監査法人』ってどうなの?という批判はありそうですが・・・。
何を伝えたいかと言えば、『辞めたいのはあなただけじゃない!』ということです。
珍しいことではなく、監査法人勤務の他の会計士も同じようなことを思っていたりするのです。
なので、必要以上に自信をなくしたり、落ち込んだりする必要はありません。負け犬でもありません。
そもそも監査法人は離職率が高い
監査法人に勤務しているのであれば、『離職率の高さ』には既に気づいていることでしょう。
監査法人によって周知方法は異なると思いますが、メールなり、お知らせなりで、『退職者の案内』が日々送られてくると思います。
また、入所1年目から同期が徐々に退職していくのを目の当たりにしていることでしょう。
事実、監査法人の離職率は高く、それは『監査法人を辞めたい』という会計士が多いことを示しています。
監査法人の規模や部門で離職率は異なると思いますが、転職サイトのジャスネットキャリアによれば、
10数年以内には5割から7割は最終的には監査法人を去る
ジャスネットキャリア
ようです。
同期の離職率を調べてみたところ・・・
どのくらい監査法人を辞めているのか私の同期を調べてみました。
その結果、入所後10年経たずに51-55%が監査法人を辞めていました。
なんでそんなことがわかるのでしょうか。
公認会計士協会の『公認会計士等検索システム』を利用すれば、各会計士が現在、勤務している監査法人や事業所がすぐにわかってしまうのです。
でも、自分の周りの会計士を調べたおかげで、多くの会計士が監査法人を辞めているという事実を実感できました。
このように監査法人は離職率が高く、『監査法人を辞めたい』というのは恥ずかしいことではないのです。
みんな悩んでいるのです。
監査法人を辞めたい理由
それでは、監査法人を辞めたい主な理由はなんでしょうか。
きっと、あなたも次に紹介する理由のいずれかに(部分的にでも)当てはまると思います。
- つまらない
- 激務
- 監査以外のスキルが身につきにくい
- 人間関係に疲れた
- 何かしらの症状が出ている
- 監査法人で干されている
- やりたいことが見つかった
監査法人を辞めたい理由1:つまらない
『監査はつまらない』とよく言われていますよね。
私の同期や知り合いでも『つまらない』と言って監査法人を辞めていく人が一定程度いました。
あまり裁量がない状況では確かに単純作業が続くこともあり、つまらないと感じることも事実です。
幸い、私はあまりつまらないと感じたことがないんですよねぇ。
同じクライアントの業務が2-3年続くと飽きましたが・・・。
毎回、少しずつ違った業務が出来ていたので、新鮮だったし、楽しかったと記憶しています。
私は前任者と全く同じ作業だけに留まるのが好きではなく、より適合した手続に変更(より深く手続をしたり、手続を省いたりしていました)することが楽しみの1つでしたが、それを否定せずに受け入れてもらえたことが大きかったと思います。
本当、上司に恵まれていたと思います。
ですが、一般的には現場の責任者(インチャージ)以上の上司は忙しく、心にゆとりのある人が少ないので、あらかじめ決められた作業を時間内に終わらせることを求められるでしょう。
その結果、『監査がつまらない』と思う会計士が出てきてしまうのです。
この記事に辿り着いたあなたも『監査はつまらない』と思っているかもしれません。
監査法人を辞めたい理由2:激務
監査法人が激務であるがために辞めたいと思う人もそれなりにいます。
確かに期末監査の時は12日間の連続勤務(毎日、深夜まで仕事)とか普通だったので、嫌になることもありました。
締め切りが迫るとピリピリする人もいるので、雰囲気が悪くなりやすいですしね。
私は繁忙期と繁忙期以外が比較的はっきりと分かれていたので、幸いワークライフバランスは取りやすかったです。
しかし、決算期の異なるクライアントを複数担当しているような場合は、期末監査が終わったと思ったら、また期末監査が始まったりして、有給休暇もろくに取れません。
振替休日すら取れません。
そのような状態が慢性的に続くと、『監査法人を辞めたい』と思うようになるでしょう。
激務になるか否かはアサイン次第なので、運不運はあるでしょう。
監査法人は残業の多い職場
監査法人は残業が多いです。
openworkで各監査法人の残業時間を調べてもらえれば、他の有名企業と比較しても残業時間は多いことがわかると思います。
監査法人名 | 残業時間(月間) |
トーマツ | 44.3時間 |
EY新日本 | 44.0時間 |
あずさ | 35.8時間 |
PwCあらた | 40.8時間 |
賛否両論ありますが、あずさでは、平日夜間や休日は基本的にパソコンが使えなくなるような施策を講じていたりします。
なお、日本を代表する有名企業の残業時間は次の通りです。
会社名 | 残業時間(月間) |
電通 | 47.0時間 |
三菱商事 | 37.0時間 |
三井住友銀行 | 32.9時間 |
ソフトバンク | 29.1時間 |
トヨタ自動車 | 26.5時間 |
JR東日本 | 17.9時間 |
全日空(ANA) | 9.1時間 |
比較すると、データ上は監査法人の残業時間は多い方だとわかるでしょう。
監査法人を辞めたい理由3:監査以外のスキルが身につきにくい
『監査は潰しがきかない』、『監査スキルだけだと将来がない(監査法人以外で働けなくなる)』なども辞めたい理由としてよく聞きます。
監査法人(特に大手)でも監査業務以外の仕事はできますが、やはりメインの業務はどうしても『監査』になります。
監査が好きで好きでたまらない人には、監査法人は最高の舞台だと思いますが、周りの受験仲間が監査法人に就職するから、なんとなく就職してみたという人は、どこかで違和感を覚えるかもしれません。
監査法人の中でパートナーを目指すのであればまだしも、将来的に監査法人以外で活躍したいと考えるならば、監査法人にズルズルと残るのは得策ではないでしょう。
監査法人を辞めたい理由4:人間関係に疲れた
監査法人でなくても、生きている以上、人と関わることが必要になってきます。
トム・ハンクス主演のキャスト・アウェイ(例えが古いですね)のように無人島で1人で生活する場合は、人と関わることもないですが・・・。
そのため、何も監査法人に限った話しではないですが、人間関係でストレスを感じている会計士が多いのは事実です。
私の同期でも、上司と馬が合わずに辞めていった人が複数いました。
特に、インチャージ業務を任されるようになると、調整業務が増えるので、クライアントや上司と反りが合わないと、ストレスが溜まること必至です。
監査法人を辞めたい理由5:何かしらの症状が出ている
監査法人に勤務していることで、何かしらの症状が出る人もいます。
不眠、潰瘍、気だるさ、食欲不振、バーンアウト症候群等、過度なストレスや働きすぎなどから症状が出てしまう場合があります。
ちなみに、私も入所3-4年目の期末監査が終わった段階で、バーンアウト症候群のような状態になりました。
2週間ほどの連続勤務が続いた後に症状が出ました。
何に対してもやる気が起きず、気分がどんよりした状態が数週間続きました。
少ししたら元気が出てきたので良かったのですが、あの状態がずっと続いていたのであれば、休職するか退職するかしかなかったと思います。
当たり前の話しですが、『健康第一』です。
健康を害した状態では、いくらお金や時間があっても意味がありません。
症状が続くのであれば、人事担当パートナーに連絡を取り、相談した方が賢明でしょう。
監査法人を辞めたい理由6:監査法人で干されている
『監査法人では干されることがある』という記事で紹介しましたが、自分自身が当事者になってしまうこともあります。
その場合、監査法人を辞めたいという思う人が大半でしょう。
スタッフやシニアの段階で干されることはもちろん、パートナー手前で干されることもあります。
何年間か次の職位に昇進できなれば、未来永劫、昇進できなくなったりするのです。
監査法人から戦力外宣告をされたのであれば、辞めたくなるのも当然でしょう。
監査法人を辞めたい理由7:やりたいことが見つかった
『監査法人を辞めたい』という理由の中で、最もポジティブな理由でしょう。
勤務したい会社や組織が見つかったり、仕事以外でやりたいことが見つかったのであれば、次のステップに進んでください。
ちなみに私が監査法人を辞めた最大の理由は、旅をしたかったからです。
子供染みていますが、事実です。
監査法人の外でしかできないことであれば、辞めたくなっても仕方がないですよね。
転職エージェントの登録がおすすめ
監査法人を辞めたいと思ったら、実際に転職するかどうかは別として転職エージェントの登録をおすすめします。
それは次のような効果が期待できるからです。
- キャリアパスを描く手伝いをしてもらえる
- 自分自身の市場価値がわかる
- 他の選択肢を知ることで気が楽になる
キャリアパスを描く手伝いをしてもらえる
転職エージェントを利用して監査法人から転職した会計士が数多くいるので、転職エージェントのスタッフは会計士の様々な転職事例やキャリアパスを知っています。
そのため、現在、明確なキャリアパスが描けていなくても、転職エージェントのスタッフの力を借りることで、自分自身の進みたい方向を決めていくことができます。
言い方は悪いですが、転職エージェントを上手く利用すれば良いのです。
公認会計士試験の平均合格年齢は25-27歳なので、多くの会計士は30年近い会計士人生が待っているのです。
その長い長い会計士人生の道すじをなんとなく描いておくことは必要でしょう。
なんとなく監査法人に残り、10年近く経って、いきなり梯子が外される可能性もゼロではありません。
転職エージェントを活用し、キャリアパスを描いておきましょう。
自分自身の市場価値がわかる
転職エージェントに登録し、少し活動してみると現在の自らの『市場価値』がなんとなくわかるようになります。
求人を見たり、面接に通過して採用通知を頂戴した時にわかりますが、監査法人時代の給料とほぼ同じか下がるケースが多いと思います。
自分自身の『市場価値』を知ると、現状の納得感が異なります。
『監査法人の方がストレスは溜まりそうだけど、採用通知をもらった会社より給料が100万円高いから、もうちょっと監査法人で頑張ってみるか』と思えたりします。
他社の給料や労働条件も知らずに『監査法人辞めたい〜。』というのとは、気持ちの整理が大きく違います。
転職市場における『市場価値』を知っておいて損はありません。
他の選択肢を知ることで気が楽になる
『監査法人でしか働けない』と思い込んでいると、監査法人で思い通りにいかなくなった時に落ち込みやすくなります。
『会計士の選択肢は無限大だ!』と考えた方が良いと思います。
いくつかの選択肢がある中で、現在は監査法人をチョイスしているんだ、と考えた方が気持ちは楽です。
その気になれば、他社にジャンプアップするよ!という感じですね。
転職エージェントに登録して少し活動することで、視野が広がります。
別に会計士人生に限った話しではないですが、近視眼的にならず、フットワークの軽い状態でいる方が人生をうまく楽しめるでしょう。
転職エージェントについて
転職エージェントについては別の記事でまとめていますので、詳細はそちらにバトンタッチします。
私が実際に利用した転職エージェントを紹介すると共に、利用する際の留意点もまとめてありますので、ぜひご覧になってください。
監査法人を辞めようと考えた際に注意すべきこと
監査法人を辞めようと考えた際に気をつけておくべきことを紹介します。
監査法人内での解決
先ほど、監査法人を辞めたい理由を列挙しましたが、監査法人内で解決できたり、不満を軽減できることも意外に多いです。
監査がつまらないとか、監査以外の経験を積みたいのであれば、出向するのも1つの手でしょう。
人間関係でストレスが溜まっているなら、不満因子を取り除いてあげましょう。
監査法人では、『あの人と一緒に仕事をしたくない』ということが比較的許されています。
特にお互いが合わないと思っている場合、事前に伝えておけば、一緒の監査チームにアサインされることはなくなります。
激務が嫌なのであれば、インチャージNGというのも可能です。
他にやりたいことが見つかったり、干されている場合には難しいかもしれないですが、監査法人内で不満を軽減できることは可能です。
そのため、不満があれば人事面談で積極的に相談してください。
監査法人を辞めなくても、状況を改善できる場合もありますよ!
監査法人を辞めようと考えている人に対するアドバイスとしては如何なものかという感じですが、ちょっと法人内での解決を模索してみてくださいね。
退職のタイミング
もう辞めることを決めた場合には、退職のタイミングに気をつけてください。
転職エージェントに登録して面談するとわかりますが、転職市場では、インチャージ経験の有無、公認会計士であるかどうか(修了考査まで終えているか)は、1つの判断材料になっていたりします。
また、2-3年間の実務経験を条件にしている場合もあったりします。
それらを踏まえると、できれば次のような内容を満たして監査法人を辞めた方が転職活動が有利に進みやすいです。
可能であれば、次の3つを満たしたタイミングが望ましいです。
- インチャージを通期で経験
- 修了考査に合格
- 3年間の監査経験
そうなると、少なくともシニア2-3年目以上の経験が必要になるでしょうか。
なお、私の示した条件を満たしておくと、将来的に監査法人で非常勤として働く場合に、時給は高まりやすいですね。
円満退社
辞める時にここまで考えている会計士は少ないと思いますが、ぜひ実践してください。
というのも、会計士業界は比較的狭いので、その人の印象がずっとついてまわるからです。
また、監査法人は出戻りが多いですが、円満に退職しておいた方が将来的に監査法人に戻りやすいからです。
辞める時には意気揚々と辞めていくので、将来的に監査業界に戻ることなんて一切考えないものですが、かなりの人数が監査法人に出戻りしているという事実があります。
そのため、なるべく穏便に迷惑をかけずに辞めて行ってください。
年度の変わるタイミング(5月末や6月末)で辞めるようにしたり、転職先の関係で微妙な時期の退職になる場合でも引き継ぎをしっかりとやり、『あいつ、最後まできちんとやっていったな』という状態で退職してください。
自分自身の利益を抜きにしても、波風立てずに円満退社するのが最低限のマナーだということは、同意して頂けると思います。
お世話になった監査法人に感謝して巣立っていってくださいね。
まとめ
簡単にまとめておきます。
- 監査法人を辞めたい会計士は多数!
- 監査法人を辞めたい主な理由は、つまらない、激務、監査以外をやりたい、人間関係に不満、やりたいことが見つかった等。
- 監査法人を辞めたいと思ったら、転職エージェントの登録がおすすめ(キャリアパスが描ける、市場価値がわかる、気が楽になる)
- 監査法人を辞めようと考えた際は、今一度、監査法人内での解決を模索したり、退職のタイミングを図ったり、円満退社を心がける等が大切。
いかがでしょうか。
同じ悩みを持っている会計士が多く存在することを知ることができ、また辞めたいという気持ちを解消するためには何をしたらいいか理解でき、気持ちが楽になったのではないでしょうか。
記事内で紹介しましたが、キャリアプランを考える上でも、自分の市場価値を知る上でも、転職エージェントを活用するのは有用です。
転職するにしろしないにしろ、選択肢を増やし、可能性を広げることは大事ですからね。
おすすめの転職エージェントや転職活動をする際の注意点等については次の記事をご覧ください。