どうも、gordito(ゴルディート)です。
今回は『労働時間』と、みんな大好き『給料』に関する内容になります。
アルバイト先を選ぶ時には気にするくせに、就職先を選ぶ時には気にしない人が多い『時給』にも触れていきます。
ちょっと古いですが、某大手保険会社のCM(知らない人はググって下さい)で流れていた通り、お金は大事です。
よく考えて就職先を選びましょう。
それでは本題に入っていきます。
専門用語や法律用語を自分の言葉に変えた時点で、意味が変わってしまい正しく表現できなくなってしまいます。
しかし、今回はわかりやすくするために、用語が正確ではなく厳密性に欠けている部分があることを先にお伝えしておきます。
あまり言葉や内容の細かい説明をすると木を見て森を見ずの状態になってしまう恐れがあり、それを避けたかったのです。
会社ごとに『労働時間』は違うのか
どの会社も『就業規則』を作成しています(作成義務のないケースもあり)。
就業規則には会社における様々なルールが記載されていますが、労働基準法第89条により絶対に記載しなければならない事項の1つが『始業及び終業の時刻』です。
ようは働く時間ですね。今回は『労働時間』という言葉を使わせて頂きます。
では、労働時間はどのように決まっているのでしょうか。
労働基準法第32条に『1日8時間』、『1週間40時間』が限度であるとされ、それを超えるものは時間外労働になると定められています。
そのため、労働基準法に倣い『1日8時間、1週間40時間』を労働時間として定めている会社が比較的多いようです。
ただし、この条文は各会社が自由に労働時間を定めることを妨げるものではありません。
私が最初に就職した大企業は労働時間が1日8時間でしたが、次に就職した監査法人は1日7時間でした。
ちなみに、各社の新卒採用サイトを確認したところ、日本を代表するトヨタ自動車の労働時間は『8時間』のようです。
一方、現在、WeWorkとLINE関連で世間を賑わしているソフトバンクグループですが、グループ内のソフトバンクという会社の労働時間は『7時間45分』です。
メガバンクの労働時間は『7時間30分』、大手総合商社の労働時間は『7時間15分』です。
このように、労働時間は各会社によって様々なのです。
『労働時間』は時給計算の基礎
労働時間が各会社で異なることはわかって頂けたと思いますが、労働時間はどれほど重要なのでしょうか。
労働時間が1日7時間30分の会社と1日8時間の会社では、月間の労働時間が『10時間』異なります(出勤日が月に20日とした場合)。
1ヶ月で考えるとその差は小さいですが、塵も積もればマウンテン。年間で考えるとその差は『120時間』となり、1ヶ月分近くの労働時間の差が生まれるのです。
さらに、労働時間は時給(月給の時間割とほぼ同じ)の計算にも関係してきます。
さきほどと同じ労働基準法第89条により、就業規則には賃金に関する事項も記載しなければなりません。この賃金には、基本給のほか、手当や割増賃金等が含まれます。
仮に労働時間が1日8時間で週5日勤務(出勤日が月に20日)であった場合、1ヶ月間の労働時間は160時間(8時間×20日)になります。
そして、仮に月給が20万円であった場合、時給は1,250円(20万円÷160時間)になります。
この時給は、割増賃金(時間外労働や休日労働等)の計算の基礎になります。
厳密ではありませんが、割増賃金の計算のイメージは次の通りです。
時給 × 割増賃金対象の労働時間(時間外労働や休日労働等)× 割増賃金率
仮に時給が1,250円で、時間外労働(残業)を月に20時間行い、割増賃金率が25%であった場合、割増賃金は31,250円(1,250円×20時間×1.25)になります。
毎日定時で終わり、残業0時間という社会人はどのくらいいるのでしょうか。
私は2社でしか働いていませんが、年間を通じて残業が0時間の人に会ったことがありません(時短勤務者、派遣社員や特殊事情のある者を除く)。
そのため、残業が常態化している日本では『時給』を度外視してはならないのです。
つまりは、『給料』だけでなく『労働時間』にも目を向けた方が良いということです。
『労働時間』は、働く時間の長さに関係するだけでなく、割増賃金の基礎となる『時給』にも関係してくるほど、非常に重要な要素なのです。
『労働時間』の重要性を確認
具体例を出さないと腑に落ちないと思いますので、最後にシミュレーションしてみましょう。
ここでは比較しやすくするために前提条件を設けます。
この前提条件を基に次の2ケースでシミュレーションしましょう。
ケース1 : 単純に3パターンを比較した場合
労働時間が1日7時間だろうと1日8時間だろうとほとんど給料総額(1ヶ月)は変わらないですね。
もちろん、1ヶ月の労働時間に20時間(140時間と160時間の比較)も差があるので、前者の方がプライベートの時間は明らかに多いです。
次に、全てのパターンで労働時間を160時間とした場合(1日8時間を基準にした場合)を見ていきましょう。
ケース2 : 労働時間を調整し、各パターンの労働時間を同一にした場合
どうですか。労働時間が1日1時間異なると、1ヶ月の給料総額に4万円ほどの差が出ました。年換算すると約48万円の違いです。
1日30分の違い(7時間30分と8時間)でも、年間で約23万円の差です。これは約1ヶ月分の給料ですよね。想像していた以上の差ではないでしょうか。
どのように計算されたか疑問に思われる方もいると思いますので、計算式を載せておきます。
興味のある方はトレースしてみてください。スマホでは見にくくてごめんなさい。
7時間/日 | 7時間30分/日 | 8時間/日 | ||
給料/月(円) | 200,000 | 200,000 | 200,000 | A |
労働時間/日(時間) | 7 | 7.5 | 8 | B |
勤務日数(日) | 20 | 20 | 20 | C |
労働時間/月(時間) | 140 | 150 | 160 | D = B × C |
時給(円) | 1,429 | 1,333 | 1,250 | E = A / D |
割増賃金率(%) | 0.25 | 0.25 | 0.25 | F |
時間外労働の時給(円) | 1,786 | 1,667 | 1,563 | G = E × ( 1 + F ) |
時間外労働(時間) | 20 | 20 | 20 | H |
割増賃金(円) | 35,714 | 33,333 | 31,250 | I = G × H |
調整(時間)※ | 20 | 10 | - | J |
調整分賃金(円) | 35,714 | 16,667 | - | K = E × J |
給料総額(円) | 271,429 | 250,000 | 231,250 | A + I + K |
※全ての労働時間を160時間で統一し、調整した時間分は時間外労働をしたとして給料総額に含めています。
多くの就活生はこの事実に気づいていません。なぜでしょうか。
それは、給料が『月給』という月単位の記載であり、『時給』という時間単位の記載ではないからです(もちろん月給と労働時間で時給を計算できますが、計算する人はごく少数でしょう)。
月給が同じ20万円だとしても、次のような記載になっている場合、感じ方が異なるのではないでしょうか。
- 時給1,250円×労働時間160時間
- 時給1,333円×労働時間150時間
- 時給1,429円×労働時間140時間
どうでしょうか。
『労働時間』がとても大切なことがわかって頂けたでしょうか。
ちなみに私が働いていた『監査法人』は、初任給30万円程度で労働時間は7時間です。
時給は2,100円を超えるため、やはり監査法人は給料の面でも魅力的であることがわかりますね。
以上になります。
もちろん他にも『賞与』や『年間休日』など考慮すべき点はあって、『労働時間』だけを確認すればいいわけではありません。
労働時間は短いけど、残業が多く、残業代が出にくい企業もあるでしょう。
『賞与』が全くない会社もあるでしょう。『年間休日』が極端に少ない会社もあるはずです。
『労働時間』は、あくまでも確認すべき事項の1つであるということを最後にお伝えしておきます。
今後、読者の方々が就職活動や転職活動をする際に、この記事が参考になれば幸いです。
日本を代表するトヨタ自動車やソフトバンクと監査法人(私は以前、監査法人に勤めていました)の『労働時間』と『時給』について簡単に比較した記事を用意していますので、興味のある方はご覧ください。