監査法人の人事評価制度はけっこうイケてます!

アイキャッチ(14-1)公認会計士

どうも、監査法人に勤務していたgordito(ゴルディート)です。

  • 監査法人の『人事評価』ってどうなっているの?
  • 不公平に評価されたりしないの?

このような疑問を解決をできる記事になっています。

なぜなら、実際に監査法人に勤務していた私が監査法人の人事評価について紹介するからです。

記事を読み終えると、監査法人には比較的良好な人事評価制度が出来上がっていることを理解できます。

  • 監査法人の規模や方針によって人事評価制度は異なりますので、あくまで参考にとどめてください。
  • 職位の低い人たち(10年目ぐらいまで)の人事評価にフォーカスしています。

監査法人における働き方

働き方(14-2)

人事評価制度を紹介する前に、監査法人における働き方を紹介します。

というのも、監査法人の特徴的な働き方が人事評価制度の根幹にあるからです。

監査法人では、ほとんどの人が複数のクライアントを担当します。

職位、年次や事業部等によって変わってきますが、少なければ2-3社、多ければ10社以上のクライアントを担当することになります。

そして、担当するクライアントが変わるたびに監査チーム(一緒に働く仲間)が変わります。

複数のクライアントを担当 = 複数の監査チームに所属

この働き方のメリットは絶大です。

大学生はサークル、ゼミやアルバイトというように複数の組織に所属している人が多いので、その場その場で関わる人たちが変わります。

一方で、一般的な会社に就職した社会人は基本的に平日の昼間は『1つの課やグループ』に所属し、ずっと同じ人たちと仕事をします。

私が新卒で就職した大企業もそうでした。

そうすると、人間関係に飽きたり、仕事で馴れ合いになったりします。

また、もし嫌いな人が同じ部署にいた場合、毎日ストレスを感じること間違いなしです。

監査法人では、一緒に働く仲間が変わって気分転換になったり、仕事の進め方で刺激を受けたりします。

また、嫌いな人とずっと一緒に仕事をしなくて良いのです。

相性の良い人とずっと仕事をできないというデメリットはあります。

小規模な中小監査法人や大手監査法人や準大手監査法人の地方事務所のように、人数が少ない場合は、同じ人たちとばかり仕事をしています。

話しが逸れたので、人事評価の内容に戻します。

『複数の監査チーム』に所属し監査業務に従事する、という働き方をしているがために、監査法人では多角的な人事評価が可能となっているのです。

まだ何のこっちゃという感じだと思いますので、具体例を用いて説明します。

監査法人における人事評価

人事評価(14-3)

監査法人では複数の監査チームから人事評価を受けることになります。

具体的には、多くの時間アサインされた監査チームのインチャージ等が年次の低い人たちを評価します。

アサイン = 監査チームに割り振られること

インチャージ = 監査現場の責任者

簡単な例を紹介します。

人事評価の例

監査法人に就職して2年目のAさんがいたとします。そのAさんが1年間にアサインされた監査チーム(クライアント)監査時間(アサイン時間)が次の通りだったとします。

監査チーム
(クライアント)
監査時間
(アサイン時間)
〇〇銀行600時間
△△産業400時間
□□リース300時間
××旅行200時間
◎◎学校法人100時間

仮に、『監査時間の上位3つの監査チームから人事評価を受ける』ような評価制度になっている場合、〇〇銀行△△産業□□リースの3チームのインチャージがAさんを評価することになります。

□□リースが〇〇銀行の子会社であり、インチャージが同じである場合には、〇〇銀行△△産業××旅行のインチャージがAさんを評価することになったりします。

あくまでも例ですが、監査法人ではこのような感じの評価制度を採用しています。

人事評価は半年ごとだったりします。

これは、複数の監査チームに所属して仕事をするがゆえに可能な評価制度ですよね。

一般の会社では、ほとんどの人が所属している組織(課やグループ)の上司(主任や課長)に人事評価をされると思います。

私が最初に就職した大企業では、所属している課の『課長1人』が私の人事評価を決定していました。

このように実質的に1人の上司に評価されるような会社は未だにあるのではないでしょうか。

一方、監査法人では各監査チームのインチャージ(評価者)が独立して評価するので、より多角的に評価されるようになっています。

監査法人の人事評価制度のメリット

適材適所(14-4)

監査法人では、1人の上司に評価されるのではなく、複数の上司から評価されることがわかりましたね。

では、なぜそのような多角的な人事評価制度が素晴らしいのでしょうか。

ここでは、実際に私が働いていた時に私の監査チームに入ってきた1年目の男性(Bさんとします)を例に出したいと思います。

そのBさんは、『小規模なクライアント』と『大規模なクライアント』のそれぞれの監査チームに所属していました。

『小規模なクライアント』を担当する監査チームは、あまり監査時間(業務時間)に余裕がありませんでした。

そのため、必要な監査手続(業務)をテンポよくこなしていくことが求められていました。

しかし、Bさんは自分自身が完全に納得してからでないと先に進めないタイプの人だったので、Bさんに割り振った仕事がなかなか片付かないことがありました。

そうなると、もちろんBさんの評価は高くなりづらいですよね。

一方、『大規模なクライアント』を担当する監査チームでは必要な監査時間が十分に確保できていました。

そのため、前任者と同じ監査手続をするだけでなく、場合によっては、より効果的な監査手続に変えることが求められていました。

Bさんは、とことん突き詰めるタイプで、その求められていることに見合う仕事をしていたようです。

そうなると、Bさんの評価は高くなりやすいですよね。

実際、Bさんは『小規模クライアント』の監査チームからの評価は低めでしたが、『大規模クライアント』の監査チームからの評価は高かったのです。

そして、Bさんは、Bさんを評価していた監査チームへのアサインが増えていきました。

適材適所になるわけですから、組織としても個人としてもハッピーですよね。

何が言いたいのかというと、自分のパーソナリティそのままでも、行くところに行けば評価されることもあるよと言いたいのです。

監査法人のような多角的な人事評価制度が素晴らしいのは、そういうセーフティーネットみたいな役割を果たしているからです。

もちろん、どの監査チームからも評価される人もいれば、評価されない人もいます。

まとめ

まとめ(14-5)

簡単にまとめます。

まとめ
  • 監査法人では『複数のクライアント』を担当し、『複数の監査チーム』に所属して働く。
  • 個人の人事評価は『複数の監査チーム』が独立して行う(多角的な人事評価制度)。
  • 『多角的な人事評価制度』は『適材適所』を促し、『監査法人』と『個人』双方にメリットがある。

今、所属している組織で評価されていない人は、サークルを変えたり、アルバイト先を変えたり、転職したりすることもありかもしれません。

一度、ダメというレッテルを貼られてしまったら、そのレッテルを剥がすことは容易ではありません。

先ほど紹介したBさんのように行くところに行けば評価される可能性はあります。

評価してくれる組織に身を置く方が居心地良いですよね。

なお、監査法人には素敵な『人事評価制度』が整備・運用されてはいるものの、出世競争は意外に熾烈です。

監査法人の出世競争に興味のある方は、次の記事をご覧になってください。

監査法人の出世競争は厳しいよ!
平和そうに見える監査法人ですが、実は厳しい『出世競争』があります。就職して3-4年したら同期と100万円ほどの給料の差がつくのは普通です。職位の低い人たちがどのように評価され、昇進していくのかを簡単にまとめています。

監査法人の働き方や人事評価制度にはデメリットも存在します。

人事評価が低かったり、悪い噂が立つとどの監査チームにもアサインされず、干されることがあります(干すことが可能です)。

その悲しい事実を知りたい方は次の記事をご覧ください。

【悲しい事実】監査法人では干されることがあります。
稀ですが、監査法人では仕事が与えられず、干されることがあるのは事実です。干された場合にどうなるのか、また干される理由、さらに干された場合の解決法について記載しています。